『台風クラブ』

世界で再評価最高潮 相米慎二による奇跡の青春群像劇 


【INTRODUCTION】
2021年、ユーロスペースで行われたれレトロスペクティブ「作家主義 相米慎二」。相米慎二を知らない若い観客がコロナ禍にもかかわらず押し寄せた。全13作品上映の中でもいちばんの動員を記録したのが相米慎二のマスターピースである「台風クラブ」。
それは1985年にはじまる。第1回東京国際映画祭・ヤングシネマ部門。審査員のベルナルド・ベルトリッチが激賞、「台風クラブ」はグランプリに輝いた。2001年、9月11日、アメリカ同時多発テロ発生。その2日前、相米慎二は逝った――。

近年、急速に国際的な再評価が高まっている相米慎二。台湾・香港のアカデミー賞と言われる金馬奨。一昨年、相米慎二監督の特集が行われ、「台風クラブ」に対し、ホウ・シャオシェンは言った。「――これが、映画だ。」。本年4月、アメリカ・ニューヨークのジャパン・ソサエティ―でも7作品の特集上映が行われた。その海外での再評価の波はさらに広がりを見せている。

2001年に夭折した相米慎二。その神話的な一本が「台風クラブ」である。冒頭、プールサイドでバービーボーイズの「暗闇でDANCE」をラジカセで鳴らし、踊り狂う少年少女たち。真っ暗と逆光のその映像が、よりリアルに、よりセクシャルに覚醒を遂げる。近年の上映で若い観客は「台風クラブ」を「ファンタジー」映画として見ていることが取材等でわかってきた。ギリギリの刹那、それでいて、どこか異次元の空間と時間を生きているような感覚。そして、性と死。相米慎二も、「台風クラブ」も、常に現代であり、それは、映像の未来でもある。全く新しい映画として、観たすべての者が(初見の者も含め)、新しい映像体験をすることであろう。

作品の重要なポイントを握るのは、ふたりの女優。高見理恵を演じたのは、工藤夕貴。ディレクターズ・カンパニーの「逆噴射家族」でスクリーンデビュー。「台風クラブ」は2本目の作品となった。その後は、ジム・ジャームシュシュ監督の「ミステリー・トレイン」への出演や「ヒマラヤ杉に降る雪」で主演を果たすなど、ハリウッド、日本で活躍している。大町美智子を演じたのは大西結花。本作が映画デビュー作となる。その後、テレビドラマ「スケバン刑事Ⅲ 少女忍法帖伝奇」に出演、同シリーズの映画版にも出演した。生徒役の三上祐一、紅林茂、松永敏行、会沢朋子、天童龍子、渕崎ゆり子も鮮烈な印象を残している。

教師の梅宮を演じたのは、三浦友和。「相米さんと逢っていなかったら、いまの自分にはなってないなと思います」(書籍「相米慎二という未来」より)と言わしめた1本が本作。映画「葛城事件」(16)、「ケイコ 目を澄ませて」(22)など出演作が続く。

【STORY】
中学校の校庭の一角に夏の名残をたたえてひっそりとプールがある。木曜日。二学期が始まって間もないむし暑い夜。暗闇の中で時おりはねて、坊主頭が見え隠れしている。突然、プールの照明が一斉について、ロックが鳴り出した。歓声をあげてなだれ込んできたのは、水着姿の高見理恵、大町美智子、宮田泰子、毛利由美、森崎みどり。……水の中で山田明が動かなくなっている。慌てた少女たちは人を呼びに田舎道まで走ってくると、同じクラスの三上恭一と清水健がジョギングしているのに出会う。恭一が明に人工呼吸をしているうちに、担任の梅宮が呼び出された。小さな風は、やがてくる台風によって、彼ら少年少女たちを閉じ込め、狂わせていく……。

監督:相米慎二
出演:三上祐一/紅林茂/松永敏行/工藤夕貴/大西結花/会沢朋子/石井富子/三浦友和
1985年/115分/日本/日本語

上映スケジュール

11/12(水)〜11/15(土)
10:00〜13:00〜16:00〜19:00〜
ハード・トゥルース 母の日に願うことミシェル・ルグラン 世界を変えた音楽家ふつうの子ども「台風クラブ」

※11月16日はイベント参加のため休館となります。ご了承ください。

11/19(水)〜11/24(月)
10:00〜13:00〜16:00〜19:00〜
「台風クラブ」ふつうの子どもハード・トゥルース 母の日に願うことミシェル・ルグラン 世界を変えた音楽家

鑑賞料金

通 常会員
一 般1800円1500円
シニア(60歳以上)1400円1200円
高校生まで1000円1000円

※お得な鑑賞料金の会員システム >>KINBOSHI VIBESもご用意しています。
>> 鑑賞料金と会員システムの変更のお知らせとお願いについてはこちらから


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