『わたしの叔父さん』

“小津チルドレン”の系譜に連なる北欧の新鋭
フラレ・ピーダセンが描く、ささやかで美しい人生の断片

【STORY】
デンマーク・ユトランド半島の酪農農家。 27 歳のクリスは、 14歳の時に父親と兄弟を失って以来、叔父さんとふたりで暮らしてきた。毎朝早く起きて、足の不自由な叔父さんの着替えを手伝い、朝ごはんを食べ、牛の世話をし、作物を刈り取る。晩ごはんの後はコーヒーを淹れてくつろぎ、週に一度スーパーマーケットに出かける。ルーティン化された毎日を淡々と繰り返すクリスと叔父さんは、お互い言葉数こそ少ないものの、気心の知れた相棒のような、父娘のような信頼と愛情で結ばれていた。

ある日、難産の牛を救ったクリスは、獣医師のヨハネスからその処置の手際の良さを褒められ、かつて抱いていた獣医になる夢を思い出す。獣医学校への進学が決まっていたクリスは、高校卒業前に叔父さんが倒れ体が不自由になったことで、進学をあきらめて家業を継いでいたのだ。ヨハネスは向学心のあるクリスが叔父さんの世話と家の仕事に追われている状況を不憫に思い、クリスを助手として問診に同行させるようになる。少しずつ、農場の外の世界に触れていくクリス。

そんなある日、教会で知り合った青年マイクからデートに誘われる。胸のときめきを感じながらも迷っているクリスに、叔父さんは行くように勧め、準備を手伝う。そして迎えた初デートの当日、クリスのとったある行動が、マイクを戸惑わせてしまう。マイクとのぎこちないデートにも慣れてきた頃、クリスはヨハネスがコペンハーゲンの大学で行う講義に助手として同行することになる。嬉しさの反面、叔父さんを置いて家を空けることを不安がるクリスに、叔父さんは大丈夫だと言って送り出すが……。

【INTRODUCTION】
監督・脚本は、小津安二郎を映画の師と仰ぐ 1980 年生まれのフラレ・ピーダセン。ミニマルだが奥深い構成、何気ない日常の一瞬のきらめきを掬い取る手腕、観客を不意打ちする絶妙な間合いとユーモアのセンスなどは、同じく小津作品をこよなく愛するジム・ジャームッシュやアキ・カウリスマキを彷彿とさせる。一方で、人生の転機を迎えた若い女性の期待と葛藤を現代的な視点で描いている点も要注目だ。さらに撮影も自身で手掛け、生まれ育った南部ユトランドの農村地域を舞台に、農業先進国デンマークで消えつつある伝統的な酪農家の営みを静謐な絵画のような美しい映像に収めた。

主人公二人を演じるのは、実の姪と叔父であるイェデ・スナゴーとペーダ・ハンセン・テューセン。これからが期待される若手女優スナゴーは、きめ細やかな演技で自由への怖れと憧れを体現し、実際に劇中の農場を所有する酪農家であり演技未経験のテューセンは、佇まいだけで叔父の人となりを魅せる。本作は、第 32 回東京国際映画祭での東京グランプリ&東京都知事賞の W受賞を皮切りに、世界各国で数多くの国際映画賞を受賞し続け、本年度の北欧映画 No.1を決定するノルディック映画賞のデンマーク代表に選出されている。

成長すること、老いていくこと、愛すること。新たな世界に出会う喜びと希望、大切なものを失う悲しみと怖れ。 『わたしの叔父さん』が描く人生の選択の物語は、わたしたちの人生と重なりあい、心の深い部分にしみわたる。観た後は、きっと誰もがそれぞれの大切な人を思い浮かべずにはいられない普遍的な物語の魅力で、国境や文化・言葉の違いを超え、多くの人々を魅了し続けている。

監督:フラレ・ピーダセン
出演:イェデ・スナゴー/ペーダ・ハンセン・テューセン/オーレ・キャスパセン/トゥーエ・フリスク・ピーダセン
2019年/106分/デンマーク/デンマーク語
(C)2019 88miles

上映スケジュール

10月23日(水)〜10月27日(日)
10:00〜13:00〜16:00〜19:00〜
「おらおらひとりいぐも」「めくらやなぎと眠る女」「時々、私は考える」「わたしの叔父さん」

※「めくらやなぎと眠る女」は日替わりで日本語版と字幕版を上映します。

「めくらやなぎと眠る女」10/23(水)10/24(木)10/25(金)10/26(土)10/27(日)
日本語版字幕版日本語版字幕版日本語版
10月30日(水)〜11月4日(月)
10:00〜13:00〜16:00〜19:00〜
「わたしの叔父さん」「おらおらでひとりいぐも」「めくらやなぎと眠る女」※「時々、私は考える」

※「めくらやなぎと眠る女」は日替わりで日本語版と字幕版を上映します。

「めくらやなぎと眠る女」10/30(水)10/31(木)11/1(金)11/2(土)11/3(日)11/4(月)
日本語版字幕版日本語版字幕版日本語版字幕版
11月6日(水)〜11月10日(日)
10:00〜13:00〜16:00〜19:00〜
「時々、私は考える」「わたしの叔父さん」「おらおらでひとりいぐも」「めくらやなぎと眠る女」※

※「めくらやなぎと眠る女」は日替わりで日本語版と字幕版を上映します。

「めくらやなぎと眠る女」11/6(水)11/7(木)11/8(金)11/9(土)11/10(日)
日本語版字幕版日本語版字幕版日本語版

鑑賞料金
一般:1500円 シニア(60歳以上):1200円 高校生まで:1000円
※お得な鑑賞料金の会員システム >>KINBOSHI VIBESもご用意しています。


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